銭湯アート回顧展ページ

「富士見湯 四季 徒然」

 

● イラストレーター  YOPPO(マエダヨシタカ)
1965年佐世保市生、東京デザインスクール卒業。'91年 渋谷電気温水センターギャラリーにて個展。'92年 第62回玄光社THE CHOICE入選、銀座ソニービル25周年記念展入選&個展。2003年以降は企画・宣伝協同組合を中心に、他に日本公認会計士協会の仕事などがある。雑誌カット、パッケージイラスト、キャラクターデザイン等、スタイルにこだわらない仕事をこなしつつ現在に至る。

4連作「富士見湯 四季 徒然」について

最初に決まっていたのは富士見湯さんでの展示と僕がデジタルメディアで製作するということだけでした、次に富士見湯の建物そのものを四季のバリエーションで見せるのはどうかというお話を頂きまして、それは面白い! それならばということで、それぞれの季節を昭和や平成といったように時代ごとにテーマを振り分けてみようと考え、フィクションも加えつつ思いつくままに描き進めたのが今回の4連作になります。普段は崩したフォルムの絵を描くことが多いのですが、富士見湯さんの建物の存在感を活かすためにデフォルメはせずそのままの形で描くことにしました。

最初に手をつけたのは昭和をテーマにした秋版です、月夜にお団子なんていうのも候補にあったのですが他の季節と色味が被ってしまうので、思いきってバックに銀杏の木を持ってきて夕景っぽい絵にしてみました、このフィクションの設定が案外よかったのであとが楽になりました。次に取りかかったのが大正テーマの春版です、春先によく突風が吹きますがそんな感じの設定で描いています。夏版は平成がテーマになります、全体を賑やかにしたかったので花火と夏祭りの設定にしました、昨年の浴場組合のポスターも同じ設定で描かせていただいていますので、僕の頭の中では花火と富士見湯は相性がいいみたいです。最後に取りかかったのが江戸がテーマの冬版になります、江戸時代にはコンクリートブロックも蛍光灯も存在しないのでこれは悪ノリのSFですね、実際にこういう町人や素浪人もいなかったと思いますが、このような想像をかきたてる何か魅力がこの建物にはあると思います。いずれにしましても全て架空の風景です、正確な時代考証を元に描いたものではないので雰囲気を楽しんでいただければと思っています。

最後に、自分は長崎に住んでおりますが取材で文京区を訪れた際一度だけ富士見湯のお湯に浸からせて頂いたことがあります。電気風呂にはびっくりしましたが、いくつかの種類のめりはりの効いたお湯加減がそれぞれに気持ちよく、風呂上がりの風通しのよい脱衣所が大変居心地良かったことが思い出されます。

文京区浴場組合様と富士見湯様の更なる繁盛と発展をお祈りしつつ、 今回展示にご協力いただいた方々に心より感謝申し上げます。
 


住所

〒113-0001 東京都文京区白山1−3−5

電話

03−3811−7014

定休日

月3回水曜(店頭で告知しています)

営業時間

15:30〜25:30